いつものうるし通信 第80号
2010.02.03



今回は、MITATEさんで開催中の「木とうるしの仕事」と燕子花さんで3日から開催する「朴木地屋」の様子をお知らせします。

※第78号でご案内いたしました「燕子花」での展示につきまして、時間の記述に誤りがございました。大変申し訳ありません。以下に正しい時間を記述いたします。ご確認下さいませ。



MITATEさんでは、その工夫された造りの空間に、
●漆の器 ●漆の小型家具 ●インテリア小物 ●水回りに設置する品 
などが展示販売されています。特に桐本木工所が長年漆器用に蓄材してきた「朴(ほお)」「あすなろ」を中心に、ヒバ、桐、杉など、うるしと相性がよい木材を生かした新作が並んでいます。

朴やあすなろという木材は、一般的にはあまり知られていない木材です。輪島では漆塗りの素地として使われていますから、その木の表情は全面には出てきません。
(※輪島では、あすなろを外壁や内装の一部に使っています。近年能登ヒバという名称で建築業界では少しずつ知られてきました。)

しかし、あすなろは、丁寧にカンナをかけて黒漆を拭き漆すると、奥底にキラキラとした艶が見え、こまかな金箔でも仕込んだの?と言われるくらいです。
ネストテーブルの枠などで使っています。

朴は、適度な堅さと加工性の良さがあり、木目ははっきりとしませんが、丁寧にペーパーをかけ、黒漆で拭き漆すると、堅木には見られない優しくてふっくらした質感となります。
壁掛け小棚、壁掛け鏡、アテハコシリーズの蓋などに使っています。

知られていない木材に桐本らしい一工夫しています。
ぜひご覧下さい。


輪島キリモト・桐本木工所「木とうるしの仕事」

●会期 平成22年1月26日(火)~ 2月7日(日) 11:00~19:00
※月曜定休(最終日は17:00まで)
●会場 ギャラリーMITATE
    東京都港区西麻布3-16-28 ル・ベイン 1F
    TEL:03-3479-3842
輪島キリモト・桐本木工所は、漆器木地業を生業としながら、今の暮らしで使って欲しいとの気持ちを込めた漆の器、小物などを創作しています。この度の企画展では、「木」と「うるし」を基本にした小型家具、インテリア小物、器をご紹介いたします。
あすなろの壁掛け鏡、うるしの天板、壁面棚、サイドテーブル、キッチンチェア、桐に「makiji」技法を使った軽いワークデスクなどをお披露目いたします。


■桐本泰一在店:2月5日 午前11時~午後3時頃



燕子花さんでは、桐本木工所の朴木地の集大成が展示販売されています。

私はここ15年、今の暮らしの中でこういうふうに使って欲しいなと考え、創作する漆の器や小物、家具、建築内装の仕事が中心でした。輪島産地内だけの協力工房・朴木地業だけでは、食べていけなくなるのではないかとい危機感もありました。木地がないとほんものの漆器は完成しないのに、木地に対する認識の薄さに嫌気がさしたこともありました。

今回、燕子花さんの天井高の高いスペースで朴木地を展示しながら、様々な角度からみていると、輪島の工房で見ている表情とは違うものが見えてきたのです。
この技術、人の手の動き、もっと応用できる領域があるのではないか!
10~15年以上蓄材している貴重な木材をさらに生かす方向性があるのではないか!

長く続く逆境の中、いろいろなことが頭を巡ります。
なぜだ、どうして、どうなるの・・・・・。
自分たちの足で一歩一歩踏みしめて歩くしかない。
自分たちの考え、自分たちの言葉を伝えていくしかない。
堅く堅く考えてしまいます。

でも、今回盛りだくさんの朴木地をみていると「たくさんある木地の楽しさ」「いっぱいあるおもしろさ」をひしひしと実感できました。具体的なことはまだまだわからないけれど、なにか一筋のあかりが見える気がするのです。
朴木地屋のたのしさ、おもしろさをぜひご覧下さい。


輪島キリモト・桐本木工所「朴木地屋」

●会期 平成22年2月3日(水)~ 2月14日(日) 12:00~19:00  ※火曜定休
●会場 燕子花別館
    東京都目黒区青葉台2-16-7
    TEL:03-3770-3401 / FAX:03-3770-3405
丸・四角・花形・扇・匙・小箱・・・。
桐本木工所には、漆が塗られる前の木地がどっさり山積みになっている。
漆器製作の初めの一歩、「木地づくり」。
朴木地屋とは、「木を刳る」ことによってつくられる複雑な木地づくりを専門に手掛ける仕事。
桐本木工所の原点、「木地の仕事」ご披露いたします。


■桐本泰一お話の会 2月6日(土) 14:00~/17:00~
          2月7日(日) 14:00~



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