第5号 2006.10.05



前回のご案内に続きすぐの配信となりますが、嬉しいお知らせです。

10月2日、財団法人日本産業デザイン振興会が実施する2006年度グッドデザイン賞の発表があり、輪島キリモトの「蒔地小福皿シリーズ」が商品デザイン部門で受賞いたしました。
(全部門の審査対象2,918件に対して特別賞を含め、合計1,034件が受賞されたようです。)

※いただいた審査評価コメント
新開発の蒔地技法を応用した硬度の高い漆塗り技法により、これまでの漆器の扱い難しさを無くしている。漆という日本の伝統工芸品をより身近にし、シンプルな形状は和洋を問わずどんな料理にもマッチしている。日常の食卓で、より気軽に美しい漆器を楽しむことができる点が評価できる。


ねらっている方向を評価していただき、素直にうれしく思いました。
この蒔地小福皿シリーズは、監修本「いつものうるし」の中で、カレーライスを金属のスプーンで食べているものです。
輪島塗産地が、江戸時代半ばから下地塗りに使っている地の粉(珪藻土を焼成粉末)を漆だけでかけ合わせるとガラス繊維に近い硬度を持ちます。しかし、この蒔地技法、あまりに堅すぎて、研ぐ作業に効率が悪く、産地では椀、盆、皿などの量産品にその技法を採用していませんでした。
また、都内の漆教室などで、木のヘラを使えない生徒さん達に、この技法で下地を施すように進め、堅い表面に時間をかけて研ぐ方法を採用しているところもあると聞いています。

効率が悪い技法、漆教室の生徒さんに採用している技法、、、、。
どこか矛盾しているような技法ですが、その堅いという機能に注目し、輪島の塗師、小林栄一さんとそれを応用した技法を開発しました。安定した表現になるまでに3年ほどかかりましたが、名刺入れに始まる小物、ステーショナリー、椀、鉢、皿、盆などの器。さらには家具天板、建築内装材に至るまで、領域を広げています。堅いと書いていますが、さわってみると、漆独特のみずみずしさ、柔らかさを感じる仕上げとなっているのです。もちろん、直すこともできます。

漆と布、漆と紙、漆と珪藻土、漆と・・・・・
様々な天然異素材との掛け合わせが可能な漆だからこそできる表現、質感。
漆器木地屋の視点から漆のモノ作りに取り組んでいますが、まだまだ漆塗り技法の開発、表現の多様化に余地があるように感じています。

輪島塗産地は売り上げが低迷したままの状態です。
桐本木工所は、漆器木地のノウハウを生かした総合創作工房を目指して試行錯誤し、ばたばた動いてはいますが、産地内からの木地仕事が激減し、大変苦しい状況が続いています。でも、そんな中だからこそ、お客様をはじめ、多くの方々からの助言、提案を真摯に受け止め、いろいろな事にすぐに挑戦していける気持ち、モノ作り体制を保ち続けたいと思います。

ご意見やご感想、アドバイスありましたら、お気軽にE-メールにてお寄せ下さい。
お待ちしています。みなさま今後とも宜しくお願いいたします。

輪島キリモト・桐本木工所 桐本泰一



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